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東日本災害支援通信(第1回)

支援活動は社会共助への取組み

岡 田 賢 一

東日本大震災の発生以来、既に100日以上を経過しています。地震と津波による被災地では漸く復興に向けた動きが始まっていますが、福島原発事故の終息予想は未だ明かにならず、また大気中に放出された放射線量が、東北山岳地域では残雪等で異常な数値測定されると云うような報道もあり、従来ほど無邪気に沢水を口に出来ないと云うような懸念が拡がっています。

一方、労山特に千葉県連は大震災の発生以降、義援金の呼び掛けに留まらず災害現地での人的支援に取り組んでおり、吉田理事長を先頭にしたその活動詳細は「野歩」等にて掲載の通りです。自分は昨年来、全国連盟の中で「遭難対策基金(現名称は“新特別基金”)制度」を守る運動の手伝いを行って来ましたが、それ等との関連を考える時今回の支援活動は非常に重要な意味を有していると思います。

企業の商品としての保険と、構成員の自治に基づく自主運用の助け合い共済(労山では遭対基金)を同一視して、共済の自主運用を認めないという「新保険業法」がかつての小泉政権時に成立して以来、多くの自主共済は解散の窮地に追い込まれてきました。その後の反対運動継続の結果、漸く政権交代後の昨年11月に一部再改定が行われたものの、自主共済を“特定保険業”とみなす基本枠組みは変わっておらず、今後も引き続き反対の運動が必要不可欠となっています。

労山は従来、自主共済を運営している各団体(全国自閉症協会、全国市町村職員互助会、全国保険医団体連合会等)と共同行動を行ってきましたが、今回の大震災での会員内外を問わない広範な人的支援(特に継続活動)では、特筆すべき取り組みを行っており、これ等の行動は従来の労山活動の域を超えた新しい一歩を刻んでいると思われます。

登山仲間の諸問題から出発した組織が、それ等にのみ留まる事なく、新しい課題に取り組む姿勢は今後の労山の有り方を示唆しているように思います。山岳会(特に労山)は単なる山屋(登り屋)の集団ではなく、後世に伝えるべき経験と技術と目的意識を有した組織であると云う従来の認識に加えて、広い意味での社会の共助組織の一端を担うべき役割を有しているのではないかと考える次第です。